
鼻からのワクチンを考える前に整理したいこと
学校から予防接種の案内が届き、注射を嫌がる上のお子さまには鼻からのワクチンが合うかもしれない、と考えたご家庭もあるでしょう。一方で、以前ぜんそくのような症状が出たことや心臓の通院歴があると、選べるのか迷いが出てきます。
この記事では、経鼻と注射の対象年齢・接種回数・副反応、接種を見合わせる条件を整理します。あわせて、岩倉市の助成の確認先と、相談前にまとめておきたい情報も紹介します。接種方法は、今の体調と治療内容を医師に伝えたうえで一緒に決めていくものです。
この記事の要点まとめ
- 経鼻ワクチンは2〜18歳が対象で原則1回、注射は生後6か月以上が対象で、13歳未満は2回が基本です。
- ぜんそく様症状や心臓の通院歴、服薬内容を伝え、現在の体調を踏まえて医師に接種方法を相談しましょう。
- 岩倉市の助成対象や期間は公式情報で確認し、費用や予約枠は接種する医療機関へ問い合わせましょう。
経鼻と注射、年齢・接種回数・効果はどう違う?

注射のインフルエンザワクチンは、13歳未満の方は2回接種です1。ただ、年齢の条件を満たせばどちらでも選べる、というものではありません。
経鼻ワクチンは2〜18歳、注射は年齢に応じて対象を確認
フルミストは、毒性を弱めたウイルスを鼻に噴霧する「生ワクチン」で、対象は2〜18歳です1。注射のワクチンはウイルスの成分を使う「不活化ワクチン」で、生後6か月以上なら年齢に応じた量で接種します1。
小学1年生と4歳のごきょうだいであれば、年齢の面ではどちらも経鼻・注射の両方が候補に入ります。とはいえ、ぜんそくのような症状や心臓の病気がある場合は話が別です。年齢が合っていても、医師との相談を前提に考えてください。
効果の数字だけで接種方法を決めにくい理由
インフルエンザワクチンは発症や重症化をある程度抑えることが期待されるものの、かからないことを約束するものではありません1。経鼻と注射を比べた研究でも、流行した型やシーズン、対象の年齢層によって結果にばらつきがあり、一方が常に上回るとはいえない状況です23。
数字を目にしたら、「いつ・どこで・何歳を対象にした結果か」を確かめてみてください。接種時期については、例年12月〜3月ごろの流行状況に応じ、流行前に接種することが望ましいとされています1。
ポイント
経鼻か注射かは、効果の数字よりも、年齢・来院できる回数・持病の状況を合わせて考えるのが現実的です。
ぜんそくのような症状や心臓の通院歴があるときの相談事項

過去の症状や通院歴だけで接種方法が決まるわけではありません。今の状態と治療内容を伝えたうえで、医師が判断します。経鼻ワクチンは鼻やのどに働く生ワクチンのため、呼吸器の症状や薬の確認が注射より細かくなることがあります。
咳・ゼーゼーが出た時期と、現在の治療を伝える
ぜんそくは気道の炎症が続き、刺激で気道が狭くなる発作を繰り返す病気です4。診断がついていなくても、次の点をメモしておくと相談が進めやすくなります。
- ゼーゼーが出た時期と、ここ1年の回数
- 最後に症状が出た日と、そのときの受診内容
- 吸入ステロイド(気道の炎症を抑える吸入薬)など、続けている薬4
経鼻ワクチンは、ゼーゼーを繰り返している場合や最近発作があった場合に、慎重な判断が求められます。今の症状が落ち着いているかどうかが、検討の出発点です。
心臓の病名・手術歴・服薬内容も接種前に共有する
心臓や血管の病気は、ワクチン接種の際に注意が必要な状態の一つとされています1。病名、手術や検査を受けた時期、今のフォローの状況をお伝えください。
とくに確かめたいのが服薬です。薬を飲んでいる場合は、経鼻ワクチンについて医師にご相談ください。当院の院長は小児循環器専門医です。通院先の主治医から指示があれば、あわせてお知らせください。
発熱や持病の状態によって接種を見合わせる場合
次のような場合は、接種の延期や方法の見直しを検討します1。
- 接種当日に37.5℃以上の発熱がある
- 以前のワクチンで強いアレルギー反応が出た
- 免疫の働きが低下する病気や治療がある(経鼻ワクチンではとくに確認が必要)
- 咳や鼻づまりが強く出ている
同じ条件でも、注射は受けて経鼻は見送る、という判断になることもあります。最終的には当日の診察で決まるため、気になる点は予約の段階で伝えておくと当日あわてずに済みます。
接種後に起こりうる症状
【注射タイプ(不活化ワクチン)】
接種部位の赤み・腫れ・痛みが主な副反応です。発熱・だるさ・頭痛などがみられることもあります。多くは接種後1〜2日以内に現れ、数日で自然に改善します。
【フルミスト(経鼻生ワクチン)】
鼻水・鼻づまり・咳・のどの痛みなどが主な副反応です。接種翌日以降に発熱・頭痛・だるさなど、インフルエンザに似た症状が出ることもあります。多くは軽度で、数日以内に自然に改善します。
また、生ワクチンのため、接種後から約1週間程度は、インフルエンザ検査でワクチン由来のウイルスが検出される場合があります。
【接種後の注意点】
いずれのワクチンも、副反応には個人差があります。接種後の発熱は、ワクチンの副反応だけでなく、実際の感染症による可能性もあります。
高熱が続く場合や、ぐったりしている、呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
ポイント
経鼻か注射かは、過去の症状だけでなく、今の体調と飲んでいる薬を伝えたうえで医師と決めていきます。
岩倉市の助成を確かめ、兄弟の接種予約をすすめる
助成の有無や条件は市の公表情報で確認し、そのあと医療機関に接種方法・予約枠・費用を問い合わせる。この順番で進めると、兄弟の予定を組み直す手間が減ります。
当院のインフルエンザ予防接種について
当院のインフルエンザ予防接種についてはこちらをご覧ください
https://yoshii-kids.com/topics/2026/09/16/vaccination/
助成の有無・対象年齢・手続きは市の公表情報で確認
お子さまのインフルエンザワクチンは国の定期接種ではなく任意接種で、公的医療保険が使えない自由診療にあたります。国の定期接種の対象は、主に65歳以上の方などです1。
そのため子どもへの助成は、自治体ごと・年度ごとに内容が変わります。岩倉市の公式サイトや担当窓口で、今年度の対象年齢、経鼻ワクチンも対象になるか、実施期間、予診票などの持参物を確認しておきましょう。
接種方法ごとの費用と予約枠は医院へ問い合わせる
経鼻ワクチンは注射より費用が高めに設定されていることが多いものの、これは一般的な傾向で、当院の費用を示すものではありません。実際の費用は医療機関によって異なります。
経鼻・注射の取り扱いや在庫も、時期によって変わります。兄弟分の予約枠とあわせて、接種先の医療機関に問い合わせてください。
問診票には呼吸器症状と循環器の通院情報を記す
待ち時間が長いと、お子さまがぐずって診察前に疲れてしまうこともあります。問診票を事前に用意できる場合は、来院前に必要な情報を書き込んでおくと当日の確認が進めやすくなります。
問診には、ゼーゼーが出た時期と今の薬、心臓の病名と服薬、過去の接種後の反応を書いておくと、当日の確認が短く済みます。お薬手帳や、主治医からの指示が書かれたものがあれば持参してください。
兄弟で通える日時と、来院方法を先に決める
予防接種と発熱患者の受診を分けているかは、医療機関によって異なります。2回接種の日程を組む際は、予約可能な日を接種先に確かめてみてください。
兄弟で通えるかどうか、移動手段や接種にかかる時間もあらかじめ考えておくと、日程を決めやすくなります。市の助成条件を確かめ、問診に既往歴を書き込んでから予約を取る。この流れで進めると、兄弟の接種日を落ち着いて決められます。
よくある質問
Q1. 経鼻ワクチンは何歳から受けられますか?
A. 経鼻ワクチン(フルミスト)の対象は2〜18歳で、接種は原則1回です1。2歳未満のお子さまは注射が対象になります。年齢が合っていても、持病や当日の体調によっては注射を勧めることがあります。
Q2. 兄弟で経鼻と注射を別々に選んでもよいですか?
A. それぞれの年齢や体調に合わせて別々の方法を選ぶことは可能です。注射の場合、13歳未満は2回接種が基本で、間隔はおおむね2〜4週間です1。来院回数が兄弟で変わるため、日程は早めに組んでおくと調整しやすくなります。
Q3. ぜんそくと診断されていなくても、ゼーゼーした経験は伝えた方がよいですか?
A. はい、お伝えください。ぜんそくは咳やゼーゼーを繰り返すことが特徴で4、診断の有無にかかわらず、症状が出た時期や回数、使っている吸入薬は接種方法を考える材料になります。
Q4. 心臓の病気で通院中でも、インフルエンザワクチンは受けられますか?
A. 心臓や血管の病気は接種の際に注意が必要な状態とされていますが1、接種の可否や方法は病状や服薬内容によって個別に判断します。通院先の主治医からの指示があれば、あわせてお知らせください。
Q5. 岩倉市の助成は経鼻ワクチンにも使えますか?
A. 助成の対象となるワクチンの種類や年齢、期間は年度ごとに変わることがあります。岩倉市の公式サイトや担当窓口で、今年度の条件をご確認ください。
参考文献
1. 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html
2. Stuurman AL, Enxing J, Gutiérrez AV, et al. Real-world effectiveness of live attenuated influenza vaccines (LAIV) and inactivated influenza vaccines (IIV) in children from 2003 to 2023: a systematic literature review and network meta-analysis. Expert Review of Vaccines. 2025. PMID: 40697050 / DOI: 10.1080/14760584.2025.2536087
3. Garai R, Jánosi Á, Krivácsy P, et al. Head-to-head comparison of influenza vaccines in children: a systematic review and meta-analysis. Journal of Translational Medicine. 2024. PMID: 39367499 / DOI: 10.1186/s12967-024-05676-9
4. 日本呼吸器学会「気管支ぜんそく」 https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html
2010年 防衛医科大学校病院 初期研修医
2012年 八戸市立市民病院 小児科
2014年 防衛医科大学校病院 小児科専門研修医
2015年 神奈川県立こども医療センター 循環器科
2017年 中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科
日本小児循環器学会 小児循環器専門医
日本胎児心臓病学会 胎児心エコー認証医
日本心エコー図学会 SHD心エコー図認証医
日本小児科学会
日本小児循環器学会
日本胎児心臓病学会
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